Electro Magnetica (EM)はFD-TD系の電磁場シミュレータです。電場と磁場をずれた格子上に配置し、交互に時間発展させていくLeap-Frog法でMaxwell方程式を離散化させる従来のFD-TD法をベースにしています。既にその有効性が確認されている手法なので基本的に安心して使えます。また、既に様々な分野で応用されていますので、確立されたアルゴリズムが多く存在しています。もちろん全ての問題に対し最適というわけではありませんが、多くの問題で有効です。

図1 直交適合格子の構造

先に、FD-TD系のアルゴリズムをベースにと述べましたが、空間を離散化するための計算格子は特殊なものを用いています。それは、Blocked Adaptive Cartesian Grid (ブロック直交適合格子)法と呼ばれるものです。この手法は計算流体力学の分野で80年代から発展してきたAdaptive Cartesian Grid (直交適合格子)法の一手法[1][2]で、非構造格子系の技術と分類されています。非構造格子は基本的にFD-TD法とはそぐわないのですが、Powellらが採用したブロックセル[1]を採用することによってその問題点を解決しました。

直交適合格子は計算領域を一つのルートセルとしてそれを必要にあわせて等分割して適合格子を構成していきます。図1に示したのが、そのデータ構造(上)と対応する適合格子(下)の例です。ここではデータ構造の例として4分木構造を示していますが、この手法の定義にはデータ構造は関係ありません。重要なのは適合格子の形状・構成方法・です。

図1では、ツリーノードの●は実際のセルが対応している部分(リーフノード)を示しています。1から6までの番号はそれぞれ対応したノードとセルを示しています。セルとは空間を分割していった際の最小単位を示し、一般的にこの内部に電場・磁場などの物理量が配置されます。

このような格子配列は、セルが直交6面体ではあるものの、構造格子とは全く異なるものです。これが非構造格子に分類されるゆえんですが、このような格子ではそのままFD-TDスキームを応用することはかなり難しい作業です。

そこで、我々はこの一つ一つのセルをブロックセルとし、そのブロックセルの中に構造格子(Yee格子)を配置して、FD-TDスキームとの融合を行いました[3]

左の図はEMの実際の起動画面です。ウィンドウの左側にはシミュレーションの設定を行うためのインターフェースが配置されています。また、右側にはシミュレーションの結果を表示する3D画面が配置され、またその下には現在のシミュレータの状況を示すログウィンドウが配置されています。 

Screen Shot of EM
Screenshot of EM

EMは、ブロック直交適合格子によって非構造格子の柔軟性・計算効率性をもち、FD-TD法の高精度・計算効率性を併せ持った唯一の電磁場シミュレータです。実際の計算例をショーケースでご覧ください。また、40日間の試用期間で実際の問題をご自分でシミュレーションすることも可能です。また、一般的なEMに対するご質問・ご要望はフォーラムの方で随時受け付けております。

  • [1] Powell,  K., Solution of the Euler and Magnetohydrodynamic Equations on Solution Adaptive Cartesian Grids, von Karman Institute for Fluid Dynamics, Lecture Series 1994-05, Rhode-Saint-Genese, Belguim, Mar. 1996.
  • [2] Aftosmis, M.J., Berger, M.J., Melton, J.E., Robust and efficient Cartesian mesh generation for component-based geometry, AIAA Paper 97-1725-CP, Jun., 1995.
  • [3] ABE, H., Blocked Adaptive Cartesian Grid FD-TD Method for Electromagnetic Field with Complex Geometies, Int'l Conf. MST, JST, 2011

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