塩の結晶が水に溶ける様子をシミュレートしました。 

一般に、原子間に働く力は Lenard-Jones (LJ)力で表されます。原子は電気的に中性なので、遠くから見ると何の力も感じません。質量による引力はゼロではありませんが、電磁気力に比べて遥かに小さいので無視できます。ところが、原子同士が近づいていくと、原子核(正の電荷)と電子(負の電荷)が別々に見えるようになり、電気の力、つまりCoulomb力を感じ始めてしまうのです。この様子を簡易モデル化したのが、先に述べたLJ力です。

塩は水に溶けると、ナトリウムと塩素と二つのイオンに分解します。このとき、ナトリウムは正、塩素は負のイオンとなり、遠くから見ても電気的に中性ではなくなります。そのため、イオンはCoulomb力を考慮に入れなければならなくなります。また、イオン同士では先のLJ力モデルが適用できなくなるので、別な力モデル、例えばBMH-Tosi-Fumi力モデルなどを使います。

また、水分子は全体としてあるLJ力モデルが定義できますが、電気的に分極しているので、LJ力とは別に、Coulomb力も考慮したSPC/Eモデルを用います。こういったモデルは理論・経験的に最適な値がいろいろな研究者から提案されています。

塩の結晶の周りに水を配置します。温度は一定になるように設定します。

 

なお、このプログラム技術について、日本コンピュータ化学会にて論文が受理され、無料で公開されています。

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