目的
本稿では、平面パッチアンテナの数値解析を、当社開発のElectro Magnetica Numericaによって行い、他社の数値解析ソフトと実測結果をベンチマークしたVandenboschら[1]の報告と比較し、ベンチマークするのが目的である。
報告[1]の中にはベンチマークとして幾つかのモデルが上げられているが、ここでは一番単純な平面パッチアンテナの2例を解析/比較対象とした。
モデル
モデルは、線路で給電される平面パッチアンテナで、1つは電気的に一様な基板と、もう一つはパッチアンテナの直下の部分の誘電率が異なる非一様基板のもの、2例である。 図1に解析対象モデルの全容と、諸寸を表1に示す。
図2に非一様モデルの、基板部分の比誘電率が異なる部分を示す。
また、基本となる基板の比誘電率 は
で、非一様パッチの比誘電率が
である。ここで、
は虚数単位である。
解析結果
前章で上げた2つのモデルに対し、L1線路上の基板端から50Ω抵抗モデルで5GHz中心のインパルス信号を印加し、その反射波を計測した。 その結果を図3に示す。
図3から、基板一様(homo)と、基板非一様(inhomo)のモデルのそれぞれの共鳴点の周波数は、表2の通りとなる。
比較
表3と表4に、Vandenboschら[1]の結果を転載する。
Software Package | ![]() |
MAGMAS | 5.363 |
IE3D | 5.335 |
FEKO | 5.313 |
MOMENTUM | 5.276 |
HFSS | 5.305 |
CST MWS | 5.28 |
Mesurement | 5.173 |
Software Package | ![]() |
MAGMAS | 5.615 |
IE3D | 5.513 |
FEKO | 5.472 |
MOMENTUM | N/A |
HFSS | 5.539 |
CST MWS | 5.499 |
Mesurement | 5.686 |
文献[1]によると、実測データ(Mesurement)は、一様モデルではその共鳴周波数は弱冠低めに出て、非一様モデルは弱冠高めに出ていると定性的に考察されている。 そのことが、各シミュレータと系統的なずれが生じている原因だと述べられている。
Electro Magnetica Numericaの結果は、各シミュレータと同等な値を示している。 文献[1]では、各シミュレータに対し及第点をあげているのと同様に、EMも同じ評価を受けられる結果を示している。
まとめ
Vandenboschら[1]で報告されているシミュレータのベンチマークを、当社開発のElectro Magnetica Numericaで行ったところ、各著名シミュレータと同等の結果を示すことが示された。
Bibliography
- 1
- Guy A. E. Vandenbosch and Alexander Vasylchenko.
A practical guide to 3d electromagnetic software tools.
www.intechopen.com, 2011.
付録:Electric Field Phasor at 5.0 GHz
付録:Radiation Directivity at 5.0 GHz
付録:Smith Chart
The translation was initiated by Hiroshi ABE on 2017-05-15
2017-05-15